- 2026.07.24
- 食品包装で「においクレーム」が起きる理由|食品衛生法ポジティブリスト制度だけでは防げないリスクと実務対策

2025年6月、食品衛生法のポジティブリスト制度が完全施行され、食品包装の安全性はこれまで以上に厳格に管理されるようになりました。
一方で、現場では次のような課題が想定できます。
- 「法的には問題ないのに、味がおかしいと言われた」
- 「原因不明のクレームが発生する」
- 「監査は通るのに品質トラブルが起きる」
その多くの原因が、「におい移り」です。
本記事では、食品包装における見落とされがちなリスクと、
実務で求められる対策を体系的に解説します。
結論:食品衛生法だけではクレームは防げない
食品衛生法(ポジティブリスト制度)は、
- 有害物質の使用を防ぐ
- 人体への安全性を確保する
ことを目的とした制度です。
つまり、
「安全であること」は担保できるが、「おいしさ」は担保しないという構造になっています。
実際の現場では、
- 基準値以下で問題なし
- 適合証明も取得済み
にもかかわらず、 「におい」による品質クレームが発生するケースが想定できます。
なぜ「においクレーム」が起きるのか
食品包装におけるにおい問題は、主に3つの要因で発生します。
■ 原因①:インキ由来の臭気
一般的な印刷インキには、溶剤や樹脂由来の臭気が含まれています。
これらは微量であっても、
- 焼き菓子
- パン
- 揚げ物
などの油分を含む食品に対しては、吸着・増幅されやすいという特性があります。
結果として、人が感知できるレベルの異臭になることがあります。
■ 原因②:セットオフ(裏移り)
印刷物を積み重ねた際に、印刷面の成分が食品接触面へ移る現象を「セットオフ」と呼びます。
これは以下の工程で発生します。
- 印刷直後の積載
- 保管中
- 輸送時の圧力
特に包装紙や紙袋では、このセットオフがにおい移りの主要因になるケースが多く見られます。
■ 原因③:紙素材の特性
紙はプラスチックと比較して、
- 吸着性が高い
- ガス透過性がある
という特徴があります。
そのため、においが移行しやすい素材であり、包装用途では特に注意が必要です。
【実際に起きる】においクレームの典型事例
ケース①:焼き菓子の異臭クレーム
包装紙のインキ臭が移行し、「薬品のような味がする」と消費者から指摘。
ケース②:揚げ物の風味劣化
油分がにおいを吸着し、「古い油のような臭い」と認識される。
ケース③:SNSでの拡散
軽微な違和感でも、
- SNS投稿
- レビュー低下
により、ブランド毀損につながることが想定されます。
法規制との関係(重要な誤解)
ここは現場で最も誤解が多いポイントです。
- 印刷インキはポジティブリストの直接対象ではない
- ただし「食品への移行」は食品衛生法で規制される
つまり、 法的に適合していても、においクレームは防げないという構造です。
監査・実務で問われる3つのポイント
✔ ① 適合証明の管理(コンプライアンス)
- ポジティブリスト適合証明
- 規格試験結果
✔ ② セットオフ対策(工程管理)
- 乾燥条件
- 積載方法
- 保管環境
✔ ③ においリスクの評価(品質管理)
ここが最も重要だと考えます。
- 実使用条件での確認
- 油性食品でのテスト
- 臭気評価
解決策:都インキの「におわなインキ」という選択
食品包装では、におい移りを前提に設計されたインキの採用が有効です。

■ におわなインキの特徴
① 超低臭設計
溶剤由来の臭気を極限まで低減
② 安全性への配慮
印刷インキ工業会の自主規制に準拠
③ 実務適合性
包装紙用途での採用実績が豊富
④ セットオフリスクの低減
裏移りによる品質劣化を抑制
なぜ今「におい対策」が差別化になるのか
現在の食品包装は
- 法令遵守 → 当たり前
- デザイン → 横並び
となっています。
その中で、「おいしさを守る包装」は明確な差別化要素になります。
- 導入によるメリット
- クレームリスクの低減
- ブランド価値の維持・向上
- 監査対応の説明力向上
- 品質トラブルの未然防止
まとめ:包装は「おいしさを守る」時代へ
現在の食品包装において、法令遵守は「当たり前」の条件です 。これからの差別化要素は、消費者が感じる「おいしさを守る包装」を提供できるかどうかにあります 。
特ににおい移りが懸念される包装紙においては、「におい対策」を最重要テーマに据えることで、都インキはクレーム防止とブランド価値向上を同時に実現でると考えています。 。
