ファーストフードの包み紙印刷に求められる安全性と臭い対策|食品衛生法と印刷インキ

  • 2026.08.22
  • ファーストフードの包み紙印刷に求められる安全性と臭い対策|食品衛生法と印刷インキ

ハンバーガー、クレープ、肉まん、ホットドッグ、ドーナツ――。ファーストフードやテイクアウト食品では、さまざまな「包み紙」が使われています。

包み紙には、食品を持ちやすくする、手を汚れにくくする、商品を保護するといった役割があります。また、店舗のロゴやブランドカラーを印刷することで、商品のイメージを伝える媒体としても機能しています。

そして、食品を包む以上、当然重要になるのが安全性です。食品衛生法をはじめとする法令・基準への対応、食品と包み紙の接触条件、使用する紙や印刷インキについて、適切に検討する必要があります。

しかし、法令への対応ができていれば、それだけで「良い包み紙」といえるのでしょうか。ファーストフードの包み紙には、もう一つ見落としたくない品質があります。

それが「臭い」です。

食品を安全に包むことはもちろん、食品本来の香りやおいしさを邪魔しないこと。この記事では、食品衛生法との関係を整理したうえで、見落とされがちな「包み紙の臭い」対策を解説します。

 

 

ファーストフードの包み紙が特殊な理由

ファーストフードの包み紙には、一般的な印刷物と大きく異なる特徴があります。それは食品との距離、そして消費者の顔との距離です。

ハンバーガーは包み紙を少しずつ開きながら食べます。クレープは包み紙を手に持ったまま最後まで食べ進めます。肉まんは蒸気の立つ状態で紙ごと手に載せ、ホットドッグやフライドチキンも食品と紙が近接した状態で使用されます。

つまりファーストフードの包み紙は、「食品を包む」「手で持つ」「顔の近くまで運ぶ」という3つの条件が重なる、印刷物としてはかなり特殊な使われ方をするのです。

だからこそ、デザインや価格だけでなく、食品包装としての安全性、使いやすさ、そして臭いへの配慮までが求められます。

 

ファーストフードの包み紙と食品衛生法

食品を包む資材を考える際に、まず確認しておきたいのが食品衛生法です。

食品衛生法では、食品または添加物を入れたり包んだりして、そのまま引き渡すものを「容器包装」と定義しています。したがって、ハンバーガーやクレープなどに使用する包み紙も、その材質や使用方法に応じて、食品用の容器包装として安全性を考える必要があります。

食品に使用する包み紙だからこそ、「単なる紙への印刷」ではなく「食品包装への印刷」という視点が重要になります。紙、加工、食品との接触方法、印刷面など、実際に食品を包んだ状態まで想定して仕様を決めることが基本です。

 

2025年6月以降のポジティブリスト制度

食品包装に関係する企業が確認しておきたい制度の一つが、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度です。2020年6月に施行された改正食品衛生法によって導入され、5年間の経過措置を経て、2025年6月1日からは経過措置終了後の制度へ移行しています。

ただし、すべての紙の包み紙や印刷インキが一律に制度の対象になるという単純な話ではありません。使用する材質や構成、食品との接触状態によって確認すべき内容が異なるため、実際の包材仕様に応じて食品衛生法上の扱いを確認することが重要です。

2025年 食品衛生法改正で包装担当が知るべきこと|ポジティブリスト完全施行への実務対応ガイド

 

印刷面が食品に直接触れなければ十分?

包み紙には店舗名、ロゴ、商品名、ブランドカラーなどが印刷されます。一般的な設計として、印刷面が食品に直接接触しないようにすることは重要です。

しかし、「印刷面が食品に直接触れないから、何も気にしなくてよい」というわけではありません。食品包装全体として必要な安全性を確認したうえで、実際の使用条件を考えて印刷仕様を決める必要があります。

そして、ここでもう一つ考えていただきたいことがあります。法令に対応し、印刷面も食品に触れないよう設計した包み紙から、「印刷物特有の臭い」がするとしたら、どうでしょうか。

 

食品衛生法への対応と「臭い」は別の問題

ここが本記事で特にお伝えしたいポイントです。

「法令や基準に適合していること」と「食品の香りを邪魔する臭いがないこと」は、必ずしも同じではありません。

安全性に必要な条件を満たしていても、包み紙を開いた瞬間に消費者が印刷物特有の臭いを感じることは起こり得ます。つまり食品包装には、法令・基準への適合という「安全性」だけでなく、食品本来の魅力を損なわないという「品質」の視点が必要です。その代表が「臭い」なのです。

 

ファーストフードだから「臭い」に注意したい理由

ファーストフードと臭いには、特徴的な関係があります。包み紙を鼻の近くまで持って食べる食品が多いことです。

ハンバーガーなら、焼いた肉やチーズ、ソースの香り。クレープなら、焼きたての生地や生クリーム、チョコレートの香り。肉まんなら、湯気とともに立ちのぼる生地と餡の香り。「香り」は食品のおいしさを構成する大切な要素です。

ところが、食品と一緒に鼻の近くまで運ばれる包み紙から別の臭いを感じたらどうでしょうか。食品そのものに問題がなくても、「なんとなくインキ臭い」と感じさせてしまえば、商品の印象に影響する可能性があります。

 

 

包み紙の臭いは「見えない品質」

印刷された包み紙には多くの品質管理項目があります。色の再現性、印刷位置、汚れや色ムラ、強度や耐油性。これらの多くは目視や数値で評価できます。

一方、臭いは目に見えません。そのため発注時のチェック項目から漏れやすい一方、消費者は食べる瞬間に必ず感じ取ります。包み紙を顔の近くで使うファーストフードでは、「臭いも包装品質の一つ」として管理する価値があります。

なお、包み紙の臭いの要因は一つではありません。紙そのもの、印刷インキ、ニスなどの加工材料、印刷・乾燥条件、印刷後の保管状態などが関係します。「食品用の紙を使っているから臭いも大丈夫」とは限らず、その紙に何を使って印刷しているのかまで考えることが重要です。

 

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食品包装紙の臭いに着目した「超低臭 におわな包装紙インキ」

都インキでは、食品包装紙に使用する印刷物の臭いに着目し、油性オフセット印刷専用の超低臭タイプ「超低臭 におわな包装紙インキ」を開発しています。

コバルト・マンガンなどの重金属系ドライヤを使用せず、臭いの原因となる酸化重合を抑える設計で、印刷物特有の臭いを根本から抑制。発色や作業性にも配慮しており、「印刷物の臭いをできるだけ抑え、食品本来の香りを邪魔しない」ことを目指した製品です。

 

SDGs時代のファーストフード包装

近年、ファーストフード業界でも環境負荷低減の取り組みが進み、プラスチックから紙製の容器・包装材へ変更する動きが広がっています。SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の観点からも、食品包装のあり方を見直すことには意味があります。

しかし、「プラスチックから紙に変更したから環境対応は終わり」ではありません。食品包装には食品を守るという本来の役割があり、安全性、使いやすさ、印刷品質、環境への配慮を総合的に考える必要があります。食品の魅力を損なわないという意味では、包み紙の臭いも検討項目の一つです。紙を選ぶだけでなく、その紙にどんなインキで印刷するかまで含めて考えることが、これからの包み紙選びでは重要になります。

 

ファーストフードの包み紙で確認したい6つのポイント

包み紙を制作・発注するときには、価格やデザインだけでなく、次の点も確認してみてください。

  • 食品包装として必要な法令・基準に対応しているか(食品衛生法、材質・用途に応じた要件)
  • 食品と包み紙の接触条件は適切か(実際の使用状態で確認)
  • 印刷面が食品に直接触れない設計になっているか(包んだり折ったりした状態まで確認)
  • 食品に必要な機能を備えているか(油分の多い食品なら耐油性など)
  • 食品の香りを邪魔する臭いがないか(印刷後の完成品を実際に確認)
  • 環境負荷にも配慮されているか(素材だけでなく印刷・加工まで)

食品別に見る包み紙の注意点

「ファーストフードの包み紙」といっても、食品によって温度、油分、水分、食べ方は大きく異なります。何を包むのかによって、包み紙に求められる条件も変わります。食品別の詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。

  • クレープの包み紙印刷
  • ハンバーガーの包み紙印刷
  • 肉まん・中華まんの包み紙印刷
  • ドーナツ・パンの包み紙、袋の印刷
  • 駅弁の掛け紙印刷
  • テイクアウト菓子の包装紙印刷
  • お寿司の持ち帰り包装紙印刷

よくある質問

Q. 印刷面が食品に直接触れなければ、臭いは問題にならないのでは?

  1. 臭いの成分は空気中を移動するため、印刷面が食品に触れていなくても、開封時や食べている最中に感じられることがあります。特に包み紙を顔の近くで使うファーストフードでは、接触の有無とは別の問題として臭い対策を考えることをおすすめします。

Q. 低臭インキにすると、発色や印刷品質は変わりますか?

  1. 「におわなインキ」は超低臭性だけでなく、発色・作業性にも配慮して設計された油性オフセットインキです。実際の仕上がりや臭いの違いは、無料の臭い比較キットでご確認いただけます。

Q. 今使っている包み紙に臭いの問題があるか、どう確認すればよいですか?

  1. まず印刷後の完成品を実際に嗅いで確認することが基本です。あわせて、当社の「包装紙 臭いリスク診断」で現在の管理状況を簡単にチェックできます。より具体的に比較したい場合は、臭い比較キットをご利用ください。

まとめ:法令対応の一歩先、「おいしさ」を邪魔しない包み紙へ

ファーストフードの包み紙で最も重要なのは、食品包装として必要な安全性を確保することです。食品衛生法をはじめ、必要な法令・基準への対応は大前提です。

しかし、消費者がハンバーガーやクレープを食べるとき、意識するのは法令適合ではありません。「持ちやすい」「デザインがいい」「いい香りがする」「おいしい」という商品全体の体験です。

だからこそ、法令対応の一歩先として、食品の香りを邪魔する臭いまで考える。都インキは印刷インキメーカーとして、目に見える「色」だけでなく、目には見えない「臭い」にも配慮した食品包装印刷をご提案しています。

 

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