- 2026.09.07
- ドーナツ・パンの包み紙、袋の印刷|食品の香りを守る臭い対策と食品衛生法

ベーカリーの扉を開けた瞬間の、焼きたてのパンの香り。ドーナツショップの、揚げたての甘い香り。パンやドーナツは、「香りが購買意欲そのもの」といってよい食品です。
その商品を持ち帰るときに使われるのが、ロゴ入りの包み紙や紙袋です。ここに、他のファーストフードとは少し違う、ベーカリー・ドーナツ特有の注意点があります。
食品と印刷物が、袋の中に一緒に閉じ込められる、ということです。
この記事では、ドーナツ・パンの包み紙や紙袋に求められる機能と食品衛生法への対応、そして「密閉空間での移り香」という観点から印刷物の臭い対策を解説します。
ベーカリー包材の特徴:食品と紙が「密閉」される
ハンバーガーやクレープは、購入してすぐ食べることが多い食品です。一方、パンやドーナツは持ち帰りが基本で、食品は袋に入ったまま、数十分から数時間を過ごします。
袋の中は、外気と遮断された小さな密閉空間です。もし包装材に印刷物特有の臭いが残っていれば、その臭いは袋の中にこもり、時間とともに食品側へ移る可能性があります。特にパンやドーナツは油脂や水分を含み、表面積も大きいため、周囲の臭いを取り込みやすい食品です。
「お店ではいい香りだったのに、家で袋を開けたら少し違う臭いがした」――そんな体験は、商品の品質そのものへの印象を左右しかねません。
ドーナツ・パンの包材と食品衛生法
食品衛生法では、食品を入れたり包んだりしてそのまま引き渡すものを「容器包装」と定義しています。パンを直接入れる紙袋や、ドーナツを包む包み紙も、使用形態に応じて食品用の容器包装として安全性を考える必要があります。
対面販売のベーカリーでは、パンを無地の内袋に入れてからロゴ入りの袋に入れる場合もあれば、印刷された袋に直接入れる場合もあります。どの面が食品に接触するのかという実際の使用条件を確認したうえで、印刷面が食品に直接触れない設計にすることが基本です。2025年6月1日以降のポジティブリスト制度についても、材質や接触状態に応じた確認が必要です。
「焼きたての香り」は資産。それを守るのも包材の仕事
ベーカリーやドーナツショップにとって、香りは広告であり、ブランドです。店内の香りに惹かれて購入した商品が、持ち帰った後も同じ香りであること。それは小さなことのようで、リピートを左右する体験品質です。
食品衛生法への適合は当然の前提として、「袋を開けた瞬間に、店と同じ香りがするか」という品質にも目を向けてみてください。パッケージの臭い対策は、香りという資産を店の外まで持ち出すための投資と考えることができます。
印刷インキからできる移り香対策
印刷物の臭いには、紙、インキ、ニス、印刷・乾燥条件、保管環境などが関係します。一般的な油性オフセットインキは、乾燥過程の酸化重合などにより印刷後にも臭いが残ることがあり、密閉された袋の中ではこの臭いがこもりやすくなります。
都インキの超低臭「におわなインキ」は、酸化重合そのものを抑えて臭いの発生を根本から抑制する油性オフセットインキです。吸着剤で臭いを吸うタイプと異なり、吸着限界による臭い戻りの心配が少ない設計で、長時間食品と共に密閉されるベーカリー包材と相性の良い選択肢です。
ドーナツ・パン包材のチェックリスト
- 食品包装として必要な法令・基準に対応しているか
- 食品と直接触れる面と印刷面の関係は適切か(内袋の有無も含めて)
- ドーナツの油分、パンの水分に対応できる紙質か
- 袋に入れて数時間置いた後、開封時に印刷物の臭いを感じないか
- 店舗の世界観を伝える発色・デザイン再現性があるか
- 環境負荷にも配慮されているか(紙化・植物由来原料など)
移り香の確認は簡単です。印刷した袋に食パンなど香りの淡い食品を数時間入れ、開封時の臭いを確かめてみてください。仕様書では分からない差が、実際に体感できます。
よくある質問
Q. 無地の内袋を使えば、外袋の印刷の臭いは気にしなくてよいですか?
- 内袋は接触面の対策としては有効ですが、臭いの成分は空気中を移動するため、外袋の臭いが袋内にこもれば移り香は起こり得ます。内袋の使用とあわせて、印刷物自体の臭いを抑えることがより確実です。
Q. ベーカリーの小規模チェーンですが、どこに相談すればよいですか?
- 袋・包装紙の印刷は通常、印刷会社様や包材商社様経由でのご相談となります。まず臭い比較キットで違いをご体感いただき、お取引先に「低臭インキでの印刷」をご相談ください。当社から印刷会社様をご紹介することも可能です。
Q. 臭い比較キットではどんなことが確認できますか?
- 通常インキと超低臭「におわなインキ」で印刷したサンプルを実際に嗅ぎ比べていただけます。移り香が気になる場合は、サンプルを袋や箱に入れて時間を置いた状態での比較もおすすめです。
まとめ:袋を開けた瞬間まで「焼きたての香り」を届ける
パンやドーナツの包材は、商品を運ぶだけでなく、店の香りごと持ち帰ってもらうための資材です。食品衛生法への対応を大前提に、密閉空間での移り香まで考えた紙選び・インキ選びで、袋を開けた瞬間の体験を守りませんか。
ファーストフード全般の包み紙については、「ファーストフードの包み紙印刷に求められる安全性と臭い対策」もあわせてご覧ください。
